読後感: 転迷 隠蔽捜査 今野 敏

隠蔽捜査シリーズの5作目
今までのシリーズを全部読んでいるものとして、このシリーズは読むのが楽しく、新しい本が出るのを待っている数少ない本です。私もこの本をかなり待ちましたが、この本を待っている人は300人を超しています。
 隣の署の管轄内で変死事件が起きたのとほぼ同時に、自管轄内では悪質なひき逃げ事件が発生。 さらには捜査トラブルのために厚労省の麻取りが威圧的な態度で怒鳴り込んできたり、娘の彼氏が外国の地で飛行機墜落事故に巻き込まれるなど、主人公・竜崎伸也に様々な難問が起きてきます。
隠蔽捜査シリーズといえば、竜崎さん。
警察庁のキャリアだった優秀な彼の現在の職は大森署の署長。
正論を述べ正論のままに行動する、ただただ真っ直ぐに生きる。
確かにそれが、物事の解決には一番いいとわかっていても出来そうで、簡単に出来ない、この生き方。
ところで、この二つの事件は厚生労働省だけでなく外務省をも巻き込み国際的事件に発展してくる。
この二つの省と、警察庁と警視庁、更には警視庁内の刑事部と交通部と大森署の関係を調整することによって、解決へ導かれることになる。
というわけで、このシリーズは謎解きよりも、竜崎がどのように行動し、その行動に面食らう警察内部の人や外部の人のおどろく様が見どころのようなお話です。
ところで、この話は南米での麻薬がらみ捜査で、警察のキャリアが絡んで、その後日本に帰ってきてから潜入捜査に利用した結果起きた事件なのですが、この事件の発生を自分のせいだと悩むキャリアに竜崎が最後に言う言葉「私たちは国家公務員です」「国家公務員は、くにのために働いている。それはつまり、戦いの最前線にいるということです。戦いなのだから、時に犠牲者も出ます」
竜崎らしい言葉が出ますが、この言葉について、4月1日朝日新聞の波聞風問欄に編集委員の原真人さんが書いた「財務省陰謀説」の正体という文章を思い出しました、その内容は、[消費税増税について、国民に人気のない政策は昔から政治家は官僚を悪者にして実現してきた、政治家自身がわきまえていて「我々は君たちを批判する。だが君たちは理想と思う財政政策を進めてくれ」と野党の大物議員から官僚が言われたということがあったそうです、政治家に任せるとバラマキにはしり増税をやらせまいとする等人気取りにはしり、国家の為にならない。本当の公務員は国家のことを考えている。いま陰謀説をふりかざし財務省たたきに走る政治家たちの底意とは何か。政局の思惑か、世間受けか。だとすれば官僚たちが「国家のためなのに」と嘆くのも無理はない。・・増税論議が動き出すたびに噴き出す財務省陰謀説は、その正体を冷静に疑ってかかった方がいい。]
ただし、私は今現時点での増税が正しいかは、まだよく判らず新聞各社が一斉に賛成しているのがよく判りません、特に、自分たちに直接かかわる新聞購読料金は増税対象から外すことを首相にお願いしている限り!

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