読後感:社長解任動議 金沢 好宏

急成長中の情報機器商社「アドバンス」の取締役パソコン事業部長・畑山にとって、社長の木田は、超えられない存在で、常に畏怖の念を抱いていた。そんななか、巨大総合商社・扶桑物産が、室町銀行と組んでアドバンス乗っ取りを企て、取締役の中には、すでに乗っ取り側と通じている人間もいる。彼らの要求は、社長の交代―それを呑まなければ、銀行は融資を引き揚げるという。ここで木田側にたてば、畑山も社を追われる。家族をかかえた40代の身で、迷い、悩む、あの木田を見捨てろというのか。しかし、妻の一言で考えが決まった、「社長解任」の動議が出される取締役会で意外な人間が意外な意見を述べて意外な結論が出た。主人公の父親に対する思いと社長に対する似た思いなど、心理描写もなかなかのものだし、作者の経歴を見れば当然かもしれないが企業を維持、さらに飛躍的に発展させるための過程等、処女作とは思えない良く書けた本だと思う。

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