読後感:仇敵 池井戸 潤

銀行小説としては珍しく庶務行員が主役で活躍する物語です。地銀の武蔵小杉支店に庶務として中途採用された42歳の恋窪商太郎。彼は、以前は大手都銀の企画部次長職にありながら、自行の常務の不正追及を跡一歩まで迫るが、返り討ちにあい逆に罪を着せられ追われてしまった。新天地では、ただものではない庶務行員に若手の融資・渉外担当の松木啓介は個人的に仕事上の相談を受けていたりその問題を解決し感謝されていた。ところが以前在職した大手都銀行員、取引先や税理士が事件に巻き込まれていくにつけ、大手都銀を私物化し私腹を肥やす常務との戦いに駆り立てられていき最後は相手を倒す様を描く物語だが、倒したからと言って大手都銀に復帰できるわけではない。現在庶務行員として勤務の地銀と、元企画部次長として仇敵のいる大手都銀の事件が交錯する展開が面白く、かつ忙しい。
この本は第1話「庶務行員」、第2話「貸さぬ親切」、第3話「仇敵」、第4話「漏洩」、第5話「密計」、第6話「逆転」、第7話「裏金」、第8話「キャシュ・スパイラル」の8話の短編集の形式だが物語は継続している。この本は主人公の人柄もよく話の内容も銀行ものらしく感じて面白かった。

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