読後感:廃墟に乞う 佐々木 譲

だいぶ前に図書館に予約していたこの本を第142回直木賞受賞というタイミングで読むことが出来ました、この後この本を待っている人が528人となっています。私は、この人の本なのでかなりこった内容の警察物だと勝手に思いこんでいて、短編集とは知りませんでした。
内容は「オージー好みの村」・「廃墟に乞う」・「兄の想い」・「消えた娘」・「博老沢の殺人」・「復帰する朝」の六篇からなっていますが、ある事件をきっかけに心を病み休職中の北海道警察本部捜査一課の敏腕刑事だった仙道孝司が主人公の連作になっていて、やっと病気が回復してきた主人公に、次々とやっかいな相談事が舞い込み、彼が北海道の全域を駆け回り解決していきます。
この主人公が心を病む原因となった事件とは3年程前に札幌市内の集合住宅で起き、結果的に仙道たちは犯人の部屋を訪れ話を聞いているのに仙道の形式主義からそれ以上突っ込んで調べず、その部屋で捕らわれの身となっていた若い女性を生きたまま救出出来たかもしれなかったのに、みすみす殺害させてしまい、犯人の男の自殺をも許してしまったのだ。仙道は猟奇的な殺され方をした女性を最初に発見した事も在り、それ以降は事件を思い出す度に思考能力が完全停止してしまい、そしてパニック状態に陥る日々を送るようになる。この話って、思い出せないが、何かドラマで見たような気がして仕方ありませんが六篇の物語も何かモデルがあるように感じるのでこれもそうなのかもしれません(思い出せません)。
この本を読んだ感想としては残念ながら「廃墟に乞う」はそんなに良いとは思えず、むしろ、最後の「復帰する朝」の方が良く出来ていて恐ろしくもあり面白いと感じました。そして、この主人公でこれだけ話が続くのならシリーズ化するかとも思いましたが、一番最後に、主人公が「刑事そのものに戻っているにちがいないと確信した」と発言しているので、休職中を前提にしているこの物語はシリーズにはならないと私は感じました。

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